暗黒星大接近!
ストーリー
ハヤカワ版表紙 |
ある日突然、太陽系中のテレバイザーにあらわれた怪人ザロ博士は、巨大な暗黒星が太陽系をめちゃくちゃにしてしまうと予言しました。
それを防ぐことができるのは自分だけで、そのために太陽系の支配権をよこせ、と言ってきたのです。
誰もが最初はイタズラと決め込んでいましたが、やがて彼の予言どおりに巨大な暗黒星が見つかり、さらに有名な科学者たちが、どんどんいなくなってしまったのです。
再び現れたザロ博士は、科学者たちはみんな太陽系から逃げ出したといい、それを聞いた人々は「ザロ博士に支配権を渡せ!」と惑星政府に押しかけはじめました。
この危機を収めるために呼ばれたフューチャーメンは事件のカギが冥王星にあることを突き止めました。
太陽系最果ての極寒の冥王星を舞台に、フューチャーメンとザロ博士の戦いが始まります。
解説
全惑星を人質にとっての恐ろしいたくらみをするザロ博士との戦いを描くシリーズ第2作です。
エピソードとしては比較的こじんまりとしていますが、「宇宙サルガッソ」や「スティックス」など、後のエピソードと関わりのある事柄も多く含まれていますので、できれば最初のうちに読みたい作品です。
主なエピソードなど
- 暗黒星
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ザロ博士の切り札、暗黒星は作中では直径5万マイルとありますから、地球の直径の6倍、土星よりやや小さい位の大きさがあることになります。
暗黒星について、もうちょっと考えてみましょう。
たしかにものすごい大きさですが、冥王星の外側にある段階では「肉眼でも恐ろしい風景になるだろう」というほどは大きくありません。
それに暗黒星は暗く、とても見えにくいですから肉眼でみるにはだいぶ近くまでゆかねばならないでしょう。
質量については作中では「計測不能」という設定なのでその影響についても推測できませんが、仮に地球クラスの密度を持っているとすれば、木星クラスの質量になりますから大変なものです。
これなら「全ての惑星は軌道から引きちぎられ暗黒星にひかれて」しまうのは無理としても、うまい軌道を取らせれば、いくつかの惑星の軌道をめちゃくちゃに変えることができそうです。
- 元素の変成
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ストーリーとは関係ありませんが、カーティスは冒頭の実験で、鉛をホウ素に変換する装置を完成させました。
この発明にはサイモンも「業績のうちでも最大のもののひとつ」と賞賛しています。
- 指輪の威力
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キャプテン・フューチャーの証として有名な10個の宝石が回る指輪には、実は沢山の使い道があるのです。
今回はその動力である原子モーターを使って原子バーナーをつくりあげてしまいます。
- 宇宙のサルガッソ海
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エーテルの強い流れに囲まれた脱出不能の宇宙の難所です。
そう、CFの宇宙はエーテルで満ちています。
サルガッソ海のなかには古くから沢山の船がつかまっています。
そして中には伝説のあの人の船や、さらにとんでもない船も眠っているのです。
サルガッソでの出来事は『謎の宇宙船強奪団』や『時のロストワールド』にも関係している重要なエピソードの一つです。
- 太陽系刑務所
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特に凶悪な悪人をぶちこむ刑務所として、シリーズ中なんども登場する刑務所です。
- スティックス人(ステジアンズ)
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冥王星人の間で〈魔法使い〉と呼ばれていた伝説の人々の正体が明らかになります。
その正体は冥王星の衛星スティックスに住む不思議な能力をもった人々でした。
『魔法の月の決闘』ではかれらを中心に話が進みます。
アニメ版について
第8話として放送されています。
舞台は鯨座第61番星系に変更され、冥王星の3つの月は、そのままの名前で3つの惑星になっています。
冥王星本星のエピソードとケイロンのエピソードは、惑星ケイロンでのエピソードにまとめられました。
これに伴い登場人物についても整理されていて、冥王星人にあたる異星人は登場しません。
サルガッソのエピソードが大幅に変わっています。
というのは、原作では初めてのサルガッソ海なのですが、アニメでは話の順番が違うため2度目のサルガッソになるからです。
この2つのエピソードは交換され、基本的には、原作「謎の宇宙船強奪団」の脱出エピソードがそのまま使われています。
なお、エーテルを登場させることが出来ないので、アニメ中では「星間物質が重力の関係で濃密に流れている」といった設定の「宇宙海流」と表現しています。