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挑戦!嵐の海底都市

ストーリー

COVER
ハヤカワ版表紙

 おそろしいことが起きてしまいました! キャプテン・フューチャーことカーティスが何者かにさらわれてしまったのです! 同時に太陽系中のグラヴィウム鉱山が「破壊王」を名乗る軍団に次々と破壊されてしまいました。 グラヴィウムは、人々がほかの惑星に旅する時に重力差を克服するための装置「重力等化装置」を作るためになくてはならない物質です。 このままでは人々が惑星間を旅することが出来なくなってしまいます。 きわどい危機をくぐり抜けなんとか脱出したカーティスはフューチャーメンとともに残った天王星の月の鉱山に向かいますが、「破壊王」の破壊をくい止めることができませんでした。
 影響はすぐに現れはじめました。 旅先で重力等化機のグラヴィウムが切れたら交換が出来ないかもしれない――たくさんの宇宙船の乗組員がそう考えて仕事を離れてしまったのです。 おかげで食料品や鉱物の輸出入はストップしてしまいました。
 わずかに残された海王星の鉱山。 太陽系の全ての人々にとって、残された最後の希望はこの鉱山だけなのです。 フューチャーメンはこの鉱山を守ることができるでしょうか。 そして「破壊王」の正体は、目的は...

解説

 シリーズ全体に関わる重要な発明品「重力等化装置」とその原料であるグラヴィウムを巡るストーリーです。 前2作に続く3人めの「悪玉」が登場しますが、今回は、当初はその目的すら掴めないまま話が進みます。

主なエピソードなど

指輪の威力
 キャプテン・フューチャーの証として有名な10個の宝石が回る指輪には、実は沢山の使い道があるのです。 今回はその中の1つ、催眠術の道具としての使い方が披露されます。

重力等化機とグラヴィウム
 グラヴィウムは金属で、この金属で作られたコイルに電気を流すと、近くの物体の重量が変化するという特性を持っています。 この素晴らしい金属はマーク・カルーによって(1980年に?)発見されました。 その後、グラヴィウムはその特性ゆえ、惑星間を旅する人々が、ことなる重力を気にせずに行動できる様にする装置――重力等化機になくてはならない物質です。 なお、重力等化機のグラヴィウムは使い続けるとその効力が落ちるので、時々取り替えなくてはなりません。

意外に無防備なチコクレーター
 最新の装備を誇るフューチャーメンの住処〈チコクレーター〉ですが、外部からの進入に対しては比較的無防備な様で、破壊王一味にまんまと進入されています。 『時のロストワールド』では〈自動警戒機〉が登場し、宇宙船の接近を事前に察知していますが、どうも生身の人間による接近を察知する手だてがない様です。

オットーとグラッグの歌唱力
 機嫌良く歌を歌うオットーに「歌を教えてくれ」とせがむグラッグ。 「歌は人間がやること」とにべもないオットーですが、この後、グラッグはひそかに練習した様です。 その成果は後に『謎の宇宙船強奪団』で披露されます。

化合物チェス
 千個のマス目の板の上に、敵味方90個づつの原子のコマを置き、自分の原子と相手の原子で化合物を作って行くゲームです。 化合物を沢山つくったほうが勝ちとなります。 カーティスの考えたこのゲームに興じるグラッグとオットーですが、どうもいつも勝つのはグラッグの様です。

小惑星人(アステロイダンス)
 小惑星に住む人間そっくりの種族です。 沢山の小惑星に住みついていますが、みな同じ姿で同じ言葉をはなすことから、もとは1つの小惑星に住んでいたものが、なんらかの方法で沢山の小惑星に広がっていったものと考えられています。 きわめて原始的な種族です。

トリトンの都市
 海王星の惑星のひとつトリトン(実在します)にはトリトン人が住んでいます。 トリトン人の都市はとても変わっています。 そこは何にもない円形の金属の台なのです。 しかしこの台の上では、人間が考えたことは全て現実になります。 トリトン人は、必要なものを思い浮かべるだけでいいわけです。 逆に、この中で危険なこと――剣呑な動物など!を考えようものなら大変なことになってしまいます。 この不思議な効果はトリトン人以外の普通の人間にも影響しますので、いまではフューチャーメン以外の人間はこの都市に近寄ろうとは思いません。

海悪魔(シーデビル)
 海王星の深海に住むと言われている伝説の水棲人です。 高度に発達した科学技術をもち、海底に都市を築いているとされています。

精神移植装置
 人間の意識を形成している脳の電気パターンを特殊な力場で引き剥がし、別の脳にそっくり移し替える装置です。 その原理は、カーティス達がこの作品の2年前に小動物をつかってすでに実験済みです。

アニメ版について

 第4話として放映されています。 鉱山はすべて他の恒星に変更され、主な舞台になる海王星も、さそり座にある**星に変更されています。

グラヴィウムを「宇宙元素番号SN12」と説明しています。

太陽付近のカーティス脱出のくだりで、救助信号を受けて向かったコメットを出し抜いて一足先に彼を救出したのはジョーン!というエピソードに変更されています。

敵を捕虜とするエピソードは、ジョーンが誘拐されてそれを救出にいって...という様に変更されています。

破壊王、マスクのデザインがカッコ悪いです。 それに声が特徴的ですので、「あ!おまえが破壊王だ!」とアニメを見ている人はすぐにわかってしまいます。