ハヤカワ版表紙 |
隕石山師のメルトンは、火星と木星の間の小惑星帯で、不思議な救援メッセージを聞いた。
そのメッセージはなんと1億年前の惑星カタインから発せられているというのだ。
惑星カタインはその昔、火星と木星の間にあった10番目の惑星で、そのなれの果てが小惑星帯だという。
メッセージはまさに、その崩壊の予兆にあえぐカタイン人からのものだったのだ。
メルトンからこのことを聞いたフューチャーメンは、新開発の〈航時推進機〉で1億年前に旅だった。
無事に1億年前に着いたことを安心する間もなく、予想も付かない事故によってコメットは故障。
なんとか地球に不時着するも、そこは恐竜時代のまっただ中。
しかしなんと、そこには恐竜と共存する人間が!
惑星の崩壊という前代未聞の危機に立ち向かうフューチャーメンたちは、今回の冒険で人類の、そして太陽系の秘密を目撃することになるのだった...
壮大な時間の流れのなかの、ドラマチックなストーリー!
太陽系内で数々の冒険をなし遂げてきたフューチャーメンたちの次の活躍の舞台は、なんと1億年前!
過去に滅びてしまった惑星を助ける冒険です。
誰でも一度はその成り立ちに想像を巡らせる小惑星帯の謎に対するCFの回答がこのストーリーです。
CF世界の根幹を貫く「デネブ伝説」や各惑星の人種、それに舞台としての太陽系のなりたちなどの全てを一気に説明づける、まさにCF上最大の要となる話といえるでしょう。
細かなエピソードに目をうつしても、オットーの悲恋や、野田さんをして「CF中一番好き」といわしめるラストシーンの美しさなど、見逃せない作品の一つです。
タイムマシンというのは大変扱いにくい題材です。 あまり自由にタイムトラベルができてしまうと、物語上に時間の制約を持ち込むことが出来なくなってしまいます。 時間に間に合わなければ、時間を遡ればいいんですから。 この問題を解決するために、時間航行を扱う物語の多くはタイムマシンが故障し、それを如何に直すかという話が主眼になります。 また因果律、つまり「自分の親を殺したらどうなるの」という問題の解決についてもストーリー上大きな要因の一つです。 しかし本作品では、ストーリーの面白さや時間を越えたスケールの大きさのために、これらの要素をほとんど無視しています。 タイムトラベルという想像もつかないカラクリを扱う物語においては、それは悪くない方法だと思います。
「原子中の電子の軌道速度というものは、時間の経過速度を制御しているんだ。 (中略)もし電子の速度をはやめてやれば、その物体の時間はどんどん進んでゆく。 もし電子の運動方向を逆にしてやれば、時間の流れに抗して過去へと向かうことができるんだ。」という様に説明しています。 原子のまわりを電子が回っていて、その仕組みをいろいろと制御することによって様々な発明品に変えてゆくのはフューチャーメンの得意技です。 (原子のまわりを電子が等速で回転という設定はいわば「CF科学の肝」ですから一切の突っ込みは不要です。) たとえば『謎の宇宙船強奪団』ででてくる〈時間加速装置〉もこれと同じ原理に基づいていますし、『太陽系7つの秘宝』などもこの設定が大きく関わっています。
第2話として放映され、舞台設定は原作と同じ太陽系です。
カタインからの救難信号受信のくだりは、小惑星帯でコメットで遊んでいるフューチャーメンが偶然に遭遇するという様に変更されています。
カタイン破壊の原因は、原作では「強い引力によってむしりとられた地核の割れ目から、海水が核に流れ込み、一気に爆発」となっていますが、アニメでは「ロシュの限界」としています。 いずれにしても、かなり木星近くまで接近しなくてはなりませんね。
推進機の燃料は、原作のウラニウムから「タキオニウム」に変更されています。 これはウラニウムのままで良かったのでは?
太陽系のなりたちについて、(放送当時)主流の学説を元に変更されています。 時間を遡った先は原作の30億年前から50億年前に、惑星の成因は恒星の接近から星間ガスになっています。
カタインの移民先は原作ではシリウス系ですが、アニメではデネブ系としています。 アニメの世界ではデネブには惑星が確認されており、その名は「メガラ星」。 そう、『恐怖の宇宙帝王』の舞台です。 メガラには改造された月があり、古代文明の遺跡もありました... 設定としてよりドラマチックでいいですね!
オットーの悲恋のエピソードは、だいぶ軽めにアレンジされました。 アニメのキャラではちょっとシリアス過ぎるかもしれませんが、オットーの人間らしさが現れた名シーンだっただけに、ファンとしては残念なところです。
野田さんはこのエピソードのラスト、カタインの人たちが宇宙船に乗り込んで行くところを「シリーズ中一番好き」だそうですが、アニメでは省略されてます。残念!