[Home]

投稿作品

 投稿作品を紹介するページです。 ぶちねこさんより、以下の面白い作品をいただきました。 掲載を快く承諾して下さいましたので、ここに紹介いたします。 なお、表現上の統一のため、一部体裁を変更している個所があることを、お断りいたしておきます。


キャプテンフューチャーの秘密

1.ジョオン・ランドールの年齢

 惑星警察機構の女性諜報員、ジョオン・ランドール。CFの中では「若くてきれい」と表される事が多いが、彼女はいったい何歳くらいなのだろう?
 その答は、『宇宙囚人船の反乱』の中にヒントを見つける事ができる。 P.14に「あたしが、惑星警察機構に四年間も勤務していることをご存知ないのかしら?」と話している。 つまり、この時点では就職してから四年目だと言う事だ。 高校卒業しての就職ならば22歳だし、大卒ならば26歳と考えられる。

 彼女が初めて登場したのは第一作目の『恐怖の宇宙帝王』である。 この時は諜報部員の仕事(スパイですな)として看護婦になっている。 (P.92、看護婦の白衣に…の記述より)

 重大な事件の潜入捜査に選抜されるくらいだから、高校卒業と言う事は考えにくい。 だからといって単なる大卒というよりは士官学校とか、日本でいうところの、防衛大学とかに入って、成績優秀だったので諜報部に配属された、と考えられるのではないだろうか。 ただし優秀だからと言って、すぐに潜入捜査できるわけではない。 最初は先輩と一緒に地味な聞き込み捜査などで、実際の仕事を憶えるのが普通である。

 以上より推定されるジョオンの経歴は、

高校卒業士官学校簡単な仕事宇宙帝王事件囚人反乱事件
18歳(2−4年)(1−2年)(初登場)(勤務4年)

と言う事になり、初登場で23歳前後になる。 白人女性の23歳といえば、結構なふけ顔に見えると思われるが、惑星警察の厳しい訓練で新陳代謝が活発な肉体になり、意外にぴちぴちギャルに見えるのかもしれない。

2.太陽系凶悪事件発生頻度

 ジョオンの年齢を調べる過程で判ったのだが、太陽系にはかなりの頻度で凶悪事件(CFが呼び出される)が発生している。 ジョオン初登場の時を勤務1年半=18ヶ月として、囚人反乱事件の時が勤務4年=48ヶ月とすると、その間の30ヶ月に発生した事件は、

『恐怖の宇宙帝王』
『暗黒星大接近!』
『挑戦!嵐の海底都市』
『脅威!不死密売団』
『太陽系七つの秘法』
『謎の宇宙船強奪団』
『透明惑星危機一髪!』
『時のロスト・ワールド』
『輝く星々の彼方へ!』
『月世界の無法者』
『彗星王の陰謀』
『惑星タラストを救出せよ!』
『宇宙囚人船の反乱』

13事件(も)ある。 また『輝く星々の〜』と『時のロスト〜』の時はそれぞれ6ヶ月、3ヶ月近く出かけてたらしいので、30−6−3=21ヶ月の間に11事件発生した(単純な)計算になる。
 21/11=1.91ヶ月=1ヶ月と27日に1回の割合で、太陽系を震撼させる凶悪事件が発生し、その期間内で必ず解決している。 また余った時間で何がしかの発明をし、オットーは暇を持てあましている。 キャプテン・フューチャーはやはり偉大なる冒険家であり科学者であったのだ。

3. 権力大王一味とは?

 詳細は判らないが、「権力大王一味」なる事件が思い出話として2回ほど出てくる。 名前からして凄そうだ。 「宇宙帝王」「破壊王」「生命王」などと比べても遜色ない。 是非とも知りたいエピソードであるが、他の悪役達と決定的に違う所がある。 他の悪役は自分の本拠地を持ち、またそこでフューチャーメンを迎えうっている。 ところが、この「権力大王一味」は本拠地が無いらしく船で冥王星、木星と逃げ回っている。(『恐怖の宇宙帝王』P.47) 「権力大王一味」というよりは「夜逃げ一家」といった所であろうか。 やはり、文庫にならないエピソードには、それなりの理由があるようである。

4. 宇宙帝王はサギ王?

 「宇宙帝王」、名前からしてあの<スターウォーズ>に出てくる皇帝と同等な感じがする。 しかし実際は木星の一部、ジョボポリスとジャングルタウン付近の木星人のみの反乱指導者だったようだ。 「私は一国の大統領だ」と言っている男が、実は田舎の村長だったりしたらサギになってしまう。 「宇宙帝王」と名乗るにはもう少し手を広げてからの方がよかったようだ。

1998/10/01 ぶちねこ

キャプテンフューチャーの秘密(第2回)

5.地球人は仲間はずれ

 振動ドライブを使って、物質生成の場へ乗り込もうとしたフューチャーメンは、宇宙塵流に遮られ暗黒星に不時着する。 そこで、この暗黒星近隣の恒星系の冒険家たちと出会う。 (『輝く星々の彼方へ!』P.73、「天文学的にいゃ、ここからそんなに遠く…の記述より)そのメンツは、

アンタレス星人ホル・ジョル
スクル・カル
ヴェガ星人ベル・デル
フォーマルハウト星人 タウヌス・タル
射手座星系人キ・イロック

 の5人である。 手持ちの星座早見盤でみると、確かにこれらの恒星(星座)はおおむね同じ方向にあるが、地球からの距離は

フォーマルハウト22光年
ヴェガ26光年
アンタレス560光年−160光年(200光年?)

アンタレスとヴェガ、フォーマルハウト両星はかなり離れている。 もっともアンタレスは何冊かの天文辞典で調べたが、ことごとく距離の表記が違う。 3倍以上の誤差(?)があるのだが、最近の表記では短い方になっているので、200光年としよう。 それでも170光年離れているアンタレスとヴェガに交流があり、26光年しか離れていない地球には、何のコンタクトも無い。 恒星間航行に成功したCFが初めての接触である。 <スタートレック>でもあったが、恒星間航行もできない星は、宇宙では仲間はずれなのだろうか。

6.実はヴェガは遠かった

 現在の天文辞典などによると、ベル・デルの住んでいるアンタレス(星系)は地球から26光年ほど離れている。 近い地球にコンタクトを取らなかったのは、恒星間航行していない種族だから、と思っていたが、『異次元侵攻軍迫る!』のP.23に「ただ、遠すぎますな。かりに強力な…」とキ・イロックが話している。
 話している所はアンタレスの近くであるがヴェガ、フォーマルハウトが近所で、地球が遠いというのは本当らしい。 恒星が移動しているのは現在でも観測されているので、これらの星々は互いに近づいていて、CFの時代には「比較的近隣」といえる距離にあるのでないだろうか。 そうなると地球からの距離は、ヴェガとアンタレスの中間で120光年くらいの宙域と思われる。 この付近で、船乗り達は暗黒星と隕石流と彗星ひしめく「蟹街道」や、化け物が待ちかまえる大星団を冒険しているのであろう。

7.物質生成の場は何処にある?

 その原理をもってすれば、どんな物質をも作り出せるという物質生成の場。 射手座方向の銀河系中心部という事だが、地球からどのくらいの距離なのだろうか。
 ヴェガ星人とアンタレス星人の「電子のジェット噴流」式宇宙船でたどりつけるのだから、銀河系中心部と思われていたが、意外に地球に近い所にあると思われる。 未来のアンタレスは地球より120光年くらいのところらしいので(?)100−140光年ほどの所に、物質生成の場があると思われる。
 物質生成の場の付近はエネルギーのポテンシャルが高く、重い金属も作れるらしいので、ラジウムでもウランでもほいほい作れる。 (ちなみにラルスタン王は黄金塊を作った)
 「異次元航行方式」の宇宙船ならばこんな距離ひとっ飛びである。 月の隠しラジウムを使わなくても、太陽系のエネルギー事情はこの先安泰であろう。

8.犯罪主犯の悩み事

 太陽系凶悪事件発生頻度は、考察により約2ヶ月に1回との結論だった。 これらの犯罪者は事を起こすまで、多少なりとも作戦を立て、機材、人員などを準備するために準備期間を必要とすると思われる。 どのくらいかは、犯罪規模、主犯の能力などにもより、いちがいには言えないが1、2ヶ月では短すぎるし2、3年かけると「旬」をのがしてしまう。 例によって中間をとり6ヶ月から1年くらいと見ておこう。 その間2ヶ月に1回、CFが出動する大事件が発生するので、計画を準備している主犯も、気をもんでいるのではないだろうか。
 太陽系政府と取引しようとした「破壊王」は、「宇宙帝王」の出現で、自分が「先祖帰り病」にかかったらどうしようと焦り、密かにCFを応援していたかもしれない。 また、暗黒星の接近により取引先を「ザロ博士」に変更しようと考えたが、連絡先がわからず(なにせスティックスだから)あたふたしていただろう。
 なんとか自分の出番がやってきたが、フューチャーメンにやられてしまう。 やはり犯罪とは割のあわないものだ。

1998/10/11 ぶちねこ

キャプテンフューチャーの秘密(第3回)

9.CF出動、悪役別目的リスト

 CFにはさまざまな悪役が登場する。彼らの目的をリストにしてみた。

作品名前目的  
「恐怖の宇宙帝王」宇宙帝王権力  
「暗黒星大接近!」 ザロ博士 権力
「挑戦!嵐の海底都市」 破壊王
「脅威!不死密売団」 生命王
「太陽系七つの秘法」 クォルン 権力
「謎の宇宙船強奪団」 ガースン
「透明惑星危機一髪!」 クォルン
「時のロスト・ワールド」 ジカル 火星
「輝く星々の彼方へ!」 ラルスタン王 権力
「月世界の無法者」 キング
「彗星王の陰謀」 彗星王 エネルギー
「惑星タラストを救出せよ!」ズウウル王 権力
「囚人宇宙船の反乱」 キム・イヴァン 自由
「異次元侵攻軍迫る!」 ゴーマ・ハス 文明の滅亡
「人工進化の秘密!」 ノートン
「魔法の月の決闘」 ヴァルディーン
「フューチャーメン暗殺計画」ブルックス
「危機を呼ぶ赤い太陽」 ル・スウウル
「小惑星要塞を粉砕せよ!」上帝 権力
「ラジウム怪盗団現る!」 ルウ・グウル
番外権力大王 権力(?)

 異論があるかもしれないが、私の考えで一応上記に分類した。
 番外を含めると21事件あり目的の内訳は、

権力7/21
10/21
その他4/21

となる。 前半は権力と金半々だったのが、後半は他の世界からの侵略を除けば、ほとんど金目当てになる。 現在の政党政治をみても、権力は維持するのに意外に手間ひま資金がかかるものである。 また手に入れた権力は、また他人に奪われる可能性がある。 CFがいなかったら太陽系の支配者はころころ変わっていただろう。 自分が安泰で楽しむには、金がてっとり早いと後半の悪役達は気が付いたのにちがいない。

10.現在もいる生命王?

 「生命王」、なんとなくかっこいいネーミングであるが、考えようによっては週刊誌に載っている通信販売の怪しい精力剤のようである。 しかも、やっていた犯罪は「生命水」という未承認の薬の販売のみである。 他の犯罪者のように太陽系を乗っ取るとかいう特別に凶悪な犯罪ではない。 意外に犯罪者としては、おとなしい部類だったのかもしれない。 ところで、最近日本ではバイアグラという薬を売って、ひと儲けしている人達がいるらしい。 効能から言って、「生命王」ならぬ「絶倫王」といったところであろうか。

1999/03/30 ぶちねこ

キャプテンフューチャーの秘密(第4回)

11.コメット号のスピード

 太陽系最速を誇るといわれるコメット号。速度はどのくらい速いのだろうか。 シリーズ後半では、各種超光速航行装置ができるので、ここでは通常航行について考えてみたい。 「恐怖の宇宙帝王」P.45に全速航行で小惑星帯から木星まで20時間で到着と話している。 小惑星帯軌道から木星軌道まで3億6000Kmなので、秒速にすると5万Km/Sになる。 加減速の時間を考慮しなければ、これがコメット号の惑星間航行速度と考えられる。 地球−月の距離は38万Kmなので7.6秒で通過できる。 これは速い!と思ったら惑星間航行はそんな甘いものではなかった。 以下に地球から各惑星間の距離とコメット号による移動時間を計算してみた。

地球軌道との距離(億Km)所要時間
水星 0.915時間 
金星 0.422時間20分
火星 0.784時間20分
小惑星帯2.715時間 
木星 6.335時間
土星 133日 
天王星 276日 8時間
海王星 439日14時間
冥王星 5813日

 これはまいった。 冥王星で事件発生してフューチャーメン出動!といっても、現場到着は約2週間後になってしまう。 その後、悪人の首領が地球にいるとわかったらまた2週間かけて戻らなければならない。 また、惑星は常に一列に並んでいるわけではないので、各惑星間の移動はもっと時間がかかるだろう。 その間、凶悪犯罪が進行していても事件に関しては何もできない。 時間つぶしにサイモンは研究に没頭するとして、オットーとグラッグは自分のペットと遊んだり、化合物チェスをしている。 カーティスは20弦のギターを引いて歌ってたりする。 「月世界の無法者」P.48でラルセン・キングがCFは「とんでもない食わせ物」とふれ回ったらしいが、あながち間違ってはいないかもしれない。

12.フューチャーメンの年齢

 物語の主人公キャプテン・フューチャーこと、カーティス・ニュートン。 「若き」天才科学者であり冒険家である彼の年齢はいくつなのであろう? 答は以外にも初登場の「恐怖の宇宙帝王」に見つけられた。 P.28に「今を去る事二十五年前、・・・」とあり、物語の二十五年前にカーティスの両親が月に移住した事がわかる。 また、P.32にはまもなくカーティスが生まれた記述があるので、彼の年齢は24歳と考えられる。 その後グラッグとオットーが作られたとあるので

カーティス長男24歳
グラッグ次男23歳(と数ヶ月)
オットー3男23歳

となる。 意外にもカーティスは「キャプテン」というよりは「お兄ちゃん」と呼ばれてしかるべき存在だったのだ。

13.エズラ・ガーニーの年齢

 惑星警察機構の司令であるエズラ。 「初老」「ゴマ塩頭」などと表記される事があるが何歳なのだろうか。 実はこれもまた、「恐怖の宇宙帝王」の中にヒントが見つけられた。 P.148に「わしが惑星世界へのりだしてから四十年だ。」と、言っている。 高卒ならば58歳だし、大卒ならば62歳と考えられる。
 ところが「透明惑星危機一髪!」のP.55に、「スペース・キッド」と呼ばれる時代があったとの記述がある。 20歳前後で宇宙勤務になったとして「キッド」と呼ばれるとは考えにくい。 血気盛んなエズラのこと、「惑星世界」にあこがれて、高校生か中学生の時に惑星間貨物船か何かの、船員のバイトをしていたのではないだろうか。 15歳で宇宙にのりだしたと考えれば、初登場で55歳くらいと思われる。 CFと一緒に、凶悪犯罪最前線でドンパチするにはギリギリの年齢であろう。

14.意外に使えない秘密兵器

 コメット号の装備のひとつに「彗星カモフラージュ装置」がある。 シリーズ中にもたびたび使用され、コメット号の「ウリ」になっている。 噴射管から特殊な帯電粒子を放出し、自ら「コメット=彗星」になってしまう事ができる。
 しかし本物の彗星の尾は、必ず太陽の反対側にのびているので、コメット号が太陽に真っ直ぐ向かっている時でないと、本当のカモフラージュにはならない。 それ以外の方向に向かっている時は、「私がコメット号ですよ」と宣伝しているようなものである。 うかつに使用したら、四方八方から海賊船などが集まってきて、原子砲の雨あられになる可能性もある。
 悪人の船には「尾のおかしな彗星をみたら即、原子砲」などと書かれた標語がペタペタ貼ってあるかもしれない。

1999/05/03 ぶちねこ