メタバースを語る意外な人

メタバースが急にバズワードになって以来、自分なりに定義をしようと思って色々と考えたり、人の意見を聞いたりしているのだけど、一向にまとまらない。もちろん明確な定義をしている人はいるけれど、「俺はこう決めた」以上のものではない。

【参考】メタバースをみんなはどう考えているか
https://note.com/yas_omori/n/na813f016e7f8

結局、今のところ唯一イメージが出来たのは、小説の「スノウ・クラッシュ」で、そりゃ当たり前だっと言われるかも知れないけれど、言葉を生み出したからというのではなくて、その細部から社会にどのように存在しているか、そして社会がどう変わるかを描いているからだ。(まさにSFプロトタイピング)

ビジネスマンが語るメタバースがいっこうに掴みどころがない、いいかえれば全く現実感がないのは、このビジョンが全く語られていないからだろう。そこにあるのは「金のニオイがする」というものくらいだ。逆にそれを実装するエンジニア(もしかしたらFacebookのようなTech企業も)は技術的興味からできることベースで作っているだけ(日本と海外では技術的な差がものすごいようだが)に感じる。「自分の興味」=かたや金、かたや技術の共犯関係が成立して進行しているように見える。

ところが、メタバースの情報収集ではなく、単になんとなく見ていたYouTubeで社会学者の宮台真司がたったの2,3分ほどでその部分に切り込んでいた。僅かな時間にナイアンテックをもってくることも驚いた。(養生人工国家?洋上?字幕が正確でないのでこの部分はよくわからない。シリコンバレーには洋上に独立都市を作ろうとかいう話もよくあるので、それかも知れないし「養生国家」はマトリクス的にアリだ。)

メタバースに浮かれる界隈に感じるなんとなくの気持ち悪さはこれで、つまり日本の「何も考えてなさ」と、アメリカや中国の「背後に潜む悪意(善意でもいい)」で、この自分でも明確に言語化できなかった部分を、社会と正義の分断としているところに感服した。
正直なところ、宮台真司は汚い言葉で感情を乱してくるし、肝心な部分は専門用語でけむにまくし(メディアの中だけで、わざとやってるのはわかっている。おそらくゼミ生にはそんな言葉は使っていないはずだ)、主張も保守的(右左ではなくて、生物としての人間として)なのがあまり好きでないのだけれど、物の見方は恐ろしく真摯でシャープで反論の余地がない。
同様の素晴らしさで仮想現実としてのメタバースを肯定的に語ってくれる人がいれば、少しはこの絶望的な気持ちも晴れるのだけれど。

宮台真司については少し検索してみると、他にもメタバースを語っているところがあり、いずれも下手な”メタバース専門家”よりもはるかに参考になる。

後篇:【宮台真司×波頭亮】現代社会をRethinkせよ。
https://youtu.be/wlTYjpU-D04?t=960
(この動画では油断したのか、時間がたっぷりあるからなのか、汚い言葉を使うのを忘れがちで「分かりやすく」なってしまっているのが面白い)

自分的には、上のNoteに書いたように、メタバースはコストの安いベーシックインカムになる未来しか予想できていない。メタバースの実現がベーシックインカム的な社会を生むか、ベーシックインカムが先に実現して分断した社会を納めるためにメタバースが活用されるか。いずれにしてもあまり嬉しい未来ではない。

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