成田悠輔×斎藤幸平対談が面白かった

最初に成田さんは、成長と格差拡大や持続可能性は相反するファクタではないのでは?という投げかけをする。特に前段は少し前にベストセラーになった「ファクトフルネス」でも良く語られていた「意外な事実」だ。

これに対する反論が、(3:20) 「125人の富豪が排出しているCO2がフランスの1国と同じ」
この発言は直感的に考えてもかなりの疑問で、油田を購入して火をつけて燃やしつづけるとかでもしないとそんなことは出来ないだろう。というわけでざっと検索したところ、この調査がもとか?

https://www.gizmodo.jp/2022/11/billionaires-are-funding-climate-destruction.html
「プライベートジェットやヨットを頻繁に利用する億万長者のライフスタイルから生まれる排出量は一般人の数千倍にもなり、すでに許容できないレベルですが、彼らの投資による排出量と比べれば、その排出量は100万倍以上にもなります」
(日本語引用記事なので、原文は違うのかもしれないが)

つまり、彼らの投資金額が社会に与える影響からの計算で、つまりこれは、金持ちはたくさん投資して経済活動をしているということを言ってるにすぎない。ひどい詭弁だ。このあと斎藤さんは「かれらのライフスタイル、プライベートジェットを乗り回したり…それがなくても十分に生活できる」と言ってるのは、ずるい。前段の「125人=フランス」は「プライベートジェットの生活」を表しているわけではないのだ。考えてみれば当たり前で、プライベートジェットを1人のために飛ばして満員の767と同じCO2排出量だとしても、たかだか200倍の排出量だ。富豪が365日毎日乗ったとしても年1度乗る人の73,000倍。フランスの人口 67,500,000から考えても1000倍ほど足りない。

もちろん実際はその投資によって生まれる経済活動によって人々が生活しているわけなので、それが無くなれば「十分に生活できない」人たちが沢山生まれるというのが資本主義の考え方だ。あるいは、格差がゼロになったとしても世界全体の経済活動が同じ量であれば、CO2の排出量は(プライベートジェット程度しか)変わらないということになる。まあ、斎藤さんはそもそもそこ(資本主義)を否定しているわけなので理屈は通るけど、おそらくこの話をそのまま聞いた人のほとんどは事実とは違う受け取り方をする。頭が良すぎて誤解する人の気持ちが理解できないのか、騙そうとしているのか…

(つづく)

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